くるみさんがやったポージングは、右手を腰につけたり、可愛い顔をしてみたり、モデルだからいろいろな表情や仕草をしなくてはならない。
だが、昇哉は不自然だと言う。
私には理解できない領域だ。
中年集団の一人は、口を開けたまま呆然と昇哉を見上げていたが、早下さんだけは反論した。
「昇哉さん。いつも言ってるけど、くるみちゃん頑張ってるからね。メイクだって前よりはよくなったし、ポージングだってね、最初よりは」
早下さんはそう言い、間を置かずに昇哉は言った。
「いや、まだだな。くるみは俺の事務所にまだ相応しくない。後、お前らの事務所にもな。まあ、俺の判断は社長公認だからな」
「昇哉さん、そんな事毎回言って。くるみちゃんは、俺の事務所入れますよ―。まあくるみちゃんが了承するか分からないですけど」
「勝手にしろ! 俺は帰る」
昇哉がそう言い、カバンを肩にかけて帰ろうとした時だった。
居間からくるみさんが出てきた。
中年集団は、だ、大丈夫かなと呟いていた。

