諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


くるみちゃん、なんであいつだけ呼び捨てなんだよ、ずるいと言っていた。

くるみさんは中年集団の言っている言葉を無視して、昇哉を見ていた。

「早く始めないか。いつもはすぐ始めるだろう? もしかして、新人の子が来たから見せ付けたいのか」

 昇哉は親指で後ろをさした。

それは、私の方を向いていた。
その方向を辿るように、中年集団は私を見てきた。

 え、え―みんな見てくる。

 私はどうしたらよいか分からず、目をキョロキョロさせた。

「あの子、困ってるだろ? 皆ジッと見るな」

沈黙を破ったのは、昇哉だった。