くるみちゃん、なんであいつだけ呼び捨てなんだよ、ずるいと言っていた。
くるみさんは中年集団の言っている言葉を無視して、昇哉を見ていた。
「早く始めないか。いつもはすぐ始めるだろう? もしかして、新人の子が来たから見せ付けたいのか」
昇哉は親指で後ろをさした。
それは、私の方を向いていた。
その方向を辿るように、中年集団は私を見てきた。
え、え―みんな見てくる。
私はどうしたらよいか分からず、目をキョロキョロさせた。
「あの子、困ってるだろ? 皆ジッと見るな」
沈黙を破ったのは、昇哉だった。
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