「え―! くるみは、早下さんのものじゃないし―」
く、くるみさん。
さっきと別人なんですけど、しかもポ―ズを決めて。
もしかして仕事モードのスイッチ入った?
よ、よく分からないが、その集団はいかにもくるみさんのファンのように思われた。
半分くらいだろうか。
半分くらいの者が世間話をしていたら、一人の男性が手を挙げた。
同じような者がいる中でその男性だけは、ビシっとネクタイをしていた。
上までボタンを締めて、まさに優等生であった。
その男性だけはその集団から少し離れてひとりポツンと後ろで見ていた。
「なんですか? 昇哉(こうや)」
昇哉という人は、真っ直ぐくるみさんを見て言った。
中年集団はくるみさんから目を離して、一斉に昇哉を見た。

