諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


「え? どういうことですか?」

 私は首をひねった。

「ここで働けば分かるから。徐々にね」

 何だろう、わからないな。

 私にそれだけ言って、彼女は手を止めていた作業を開始し始めた。

 すると、お客さんが来た。

 中年男性十人組がやってきた。
 
左手首にしていた腕時計を見ると、十五時だった。

「いらっしゃいませ」

 私は中年男性達に声をかけた。

私の声は太めな男性にかき消されて、くるみさんの所へ早々と行ってしまった。

「くるみちゃん、今日も可愛いね。やっぱり俺の事務所来てよ。なんでダメなの―」

 どこかの事務所の方だろうか、くるみさんに世間話をしている。

 その人は秋なのに半袖、半ズボンを着ていた。

眼鏡をかけており、体型は太めでいかにもくるみさん狙いであった。