諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます



「はあ……」

 私はため息混じりの声を発した。

作業していた手を止めて彼女は、私の方を向き、明るいトーンでこれからの予定を話し始めた。

「だから、夢を叶えるためにはここは最高の場所なんだからね。覚えておいてね。後、十五時になったら、お客さん沢山来るから。対応よろしく―」

「あ、あの、松岡さんって何処に行かれたんですか?」

 私は何を思ったのか彼女に、松岡さんについて聞いてみた。

「あ、そういえば今日は何もないと思うけど……」

 腕を組んで上を見て、彼について考えているようであった。

分かったのか、あ―、そうかとポンと左手に右手を置いていた。

「はいはい、そういうことね。あなたは知らなくて大丈夫よ」