諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


どういうこと?

「そのために私は夢を持っているかあなたに聞いたんだよ。私はモデルになりたいの。偶然陽和と出会ってから、ここに勤めるようになったの」

 偶然か。そんなことあるのかな。

「……私は」

 私の夢は小説家なのかな?

でも、本当になりたいの?

「それであなたの夢はなに?」

くるみさんは本を奥にしまいつつ、掃除している私に言ってきた。

「……一応、小説家です」

私は今思っている夢を口にした。

本の埃をパッパッと払い、私の話を相槌を打ちながら彼女は聞いていた。

「……ふ―ん、そう。陽和はこの子入れたんだ。でも、この店は、あんまり客来ないから」

 この店は、あんまり客が来ないとかアルバイトしている意味あるのかな。

しかも引っかかるのは、お客様は従業員の夢を叶えるために来てくれること。

「私達の夢のためにお客様が来てくれるんですか?」

「そうよ。だからね、夢って言っても私達の店は、諦めた夢を持つ人がここで雇われてんの」