「……なんでしょうか?」
「あ―、私ここで働いている者でくるみって言います。以後お見知りおきよ」
え―、まさかの先輩!
まじか。頼りになる人が来るって言ってたな。
「……よ、よろしくお願いします!」
「あ―はいはい。よろしく」
そう言って向かったのは、居間であった。
ヒールを乱雑に脱ぎ捨てて、戸を開けたままカバンを置き、ネコ柄のエプロンを出した。
「え―と、あなた名前なんて言うの?」
くるみさんは口にゴムを加えながら髪を結んで靴を履き私を見上げた。
私は彼女のエプロン姿に見入ってしまった。
その姿は、穢れのない彼女自身の容姿とつやつやな長い黒髪に同性の私でも惚れてしまうほどであった。
「……小松陽琉です」
私はそう言って礼をした。

