諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


「ありがとうございます。私は何をすればいいでしょうか?」

「あ―、そうだね。まあ古本の整理とか、会計とか、客が来たら適当に対応して。あ、会計はそこにお金があるから―。後は任せた。俺は、ちょっと行ってくるわ」

「え? 何処に」

人差し指を口に当てて、彼は私に言った。

「内緒!」

「はあ―」

 アイドルみたいなウィンクをして、松岡さんは私に言ってきた。

私はため息というよりも、引いていた。

ってか、初日にアルバイトの者をひとりにしていいのかよ。

「あ、もう少ししたら、陽琉の頼りになる人が来るから、頑張ってね」

 そう言って、松岡さんは行ってしまった。