夏帆はゴホゴホと咳き込んでいた。
気管に入り込んだのかコ―ラを飲むのをやめて、私の方を見た。

「……なんでもないよ。でも、自分を見直すことが出来たよ」

 夏帆が、はあ? 何それと言った途端、先生がきた。

 一三時五十分

 古本屋『松岡』に着いた。

「……来たけど。ここでアルバイトだよね。アルバイトは初めてじゃないけど、大丈夫だよね。自分を見直す為に」

 私は独り言を呟きドアノブを握りしめて、見えない敵に勝負を挑むかのように古本屋『松岡』に足を踏み入れた。