私は自分自身の顔を触り始めた。

いや、そんなことはない。

A会社は不合格になったし、そんないいことなかったけどな。

 でも、ひとついいことというか。

まあ、楽しいことはあった。

「ないよ」

「もしかして、就活終わった?」

 口にコ―ラ―を含ませてから、教室にあった時計を見て夏帆は言ってきた。

「……いや、終わってはない。でも楽しいことはあったかな?」

 そんなことを言いながらスマホをロック解除にして、私が大好きな歌手のツイッターを開いて見ていた。

「……なになに。珍しい、陽琉がそんなこと言うなんて」