諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます



いや、私自身そんなことを思ったことがなかった。

最終面接さえ出来ればよかった。会社に入りたいという強い願いだけだった。

 松岡さんの言う通り、行きたかったのか私自身もよく分からない。

でも、その為に面接練習もした。
 自己アピ―ルも何度も練習した。

ちゃんと、就職出来るように頑張った。
 ちゃんと就職出来るように?

「……もしかして、行きたくなかったんじゃないのか?」

 胸ポケットに煙草があったのかライターを開けて煙草を吸い始めた。

「いや、その……」

 私自分もよく分からない。行きたくなかった? まさか。

 すごい、嬉しかったし。面接落ちまくってたのが受かって嬉しかったし……。

 あれ? 私、何のために就活してたんだっけ。

 私は俯き太ももに手を置き、拳を握りしめて考えた。