諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


「……それはドンマイ」

「……それで、もう嫌になってどこかにフラフラしてたら松岡さんがいて、今に至ります」

「……そうだったのか。……でもなんで遅刻したんだ?」

お茶を全部飲み終えたのかピヨを呼び寄せて、彼はピヨとじゃれ始めた。

「……私が時間を勘違いしてしまったんです」

 松岡さんはピヨを見ていたのが、え?と私を見て丸い目をしていた。

「……それは……ドンマイ」

「あはは、私情けないですよね」

 私は、頭をかきながら下に俯いた。

 ピヨを床に置いて、あっちで遊んできなと言って、私の方を向き直して彼は言った。

「確かに面接に遅れたのは悪い。だが、陽琉自身本当にその面接に行きたかったのか?」

 その言葉に耳を疑った。