諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


なぜ、彼は私のことが分かるの―!

「なんで分かったんですか?」

私は目を丸くして彼を見た。

「……大体、スーツ着て落ち込んでいる就活生はね?」

私は苦笑いを浮かべた。

「……まあ、はい」

「あれだよ。笑顔になれば忘れる! イーッて」

彼は私のほっぺたを両手で引っ張った。

「やめでくだざい」

私の表情を見て、彼は腹を抱えて笑っていた。

私の気持ちも知らずに私の表情を見て、笑っていたので腹が立っていた。

「……はは。陽琉は、あれだな。面白い顔するんだな」