諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


彼はピヨを抱いて、私の所へやってきた。
「うん、似合う、似合う」

腕を組みながら彼は私の全身を見て言った。
う、見ないでよ―!

「……あ、ありがとうございます」

「あ、そういえば時間大丈夫? なんか無理に連れてきちゃったけど……」

「大丈夫です。それにもう……」

「もう……?」

「いや、なんでもないです」

 話しても私の気持ち分かるはずないし、私が悲しい気持ちをするだけだ。

「じゃあ今時間あるね? 俺と話さない?」

「え?」

 いや、時間はあるけど、話す気分じゃあないんだけど。

「……いや、あの私」

彼は、首を傾げていた。

「どうした?」

「……い、いえ。なんでもないです」

「そう。じゃあ、その椅子に座って」 

彼は居間になにかを取りに行った。

私は仕方なく、近くにあった椅子に座って彼を待っていた。