諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


「親父。これ」

 右手に何かを持ち、松岡さんは林総理大臣に渡した。

 それは、猫のストラップであった。

 確か、これは松岡さんが持っていた猫のストラップ。

林総理大臣と松岡さんの思い出かな?

「……これ? 私があげた猫のストラップ。まだ持ってたのか」

 松岡さんが持っていた猫のストラップって林総理大臣にもらったものだったんだ。

「違うよ、これは猫のストラップだけど、自分で作ったんだよ。これは親父の分。後、弟によろしく伝えて」

 彼は林総理大臣の右手を掴み、猫のストラップを渡した。

 目を丸くして林総理大臣は驚きつつも笑顔で答えて、猫のストラップを握りしめた。

「ありがとう。大事にするよ……和成(かずなり)に伝えておくよ」