瞼を閉じて松岡さんにいつもより優しい声で林総理大臣は言った。
「……そんなこと言われても分からないよ。親父は本当にそんな人じゃないって思ってたら、色々考えたのに……そんなことあんのかよ! 俺、もうわかんねぇよ。どうすればいいんだよ」
「……障害だけど、ネコを殺したことは変わらない。だから、私は陽和にそれだけ言いたかった。陽和には感謝している。聞いてくれてありがとう。私は間違っていたんだな。早く来れば良かった、本当に」
林総理大臣は何処かを見下ろしていた。
「……そうだよ、本当に。親父、時間じゃないか?」
彼は、時計を指差していた。
「……そうだな」

