でも、そんなことより私は林総理大臣に言わなければならないことがある。
だから、松岡さんには悪いけどここは引き下がれない。
「松岡さん。あなたが思っていること、はっきり言いたいんです。だから私に言わせて下さい」
彼は、少し黙って考えた。
そして、決まったのか顔を上げた。
「分かった。陽琉が思っていることいいな。俺は止めないから」
彼は優しい言葉で私に言った。
「はい」
私は笑顔で松岡さんに返事をした。
返事をしたら林総理大臣に向き直した。
「林総理大臣。私は松岡さんに会って日が浅いです。でも、これだけは言えます。松岡さんは素直で純粋な方です」
「分かってますよ、そんなこと。親ですからこれでも」
「はい、でも分かっていないことがあります」
「そんなことはない。私は陽和のことはあなたより知っている。あなたにどうのこうの言われる筋合いはない」

