呆れた顔で彼は私を見てから、安心したのか表情が柔らかくなっていた。
「陽和。いいか?」
「ああ、いいよ」
彼は林総理大臣に返事をしてから、テーブルの方へ行った。
私には、ここに座ってと促してくれた。
「んで、話はなんですか?」
松岡さんは椅子に腰をかけて林総理大臣に言った。
「そんな怖い顔しないでよ、陽和」
「……別に」
彼は厳格な顔をしていた。
「今日は大事な話があったから。太橋さんに言って呼んでもらったんだ」
私は何も言わず黙って座り、二人の会話を聞いていた。
「……それでなに? 話って。俺は親父とはもう話す気なんてなかったんだからね。太橋さんがどうしてもって言うから」
「……陽和。本当に悪かった。陽和には本当に悪いと思っている。私は総理大臣になれた。お前にはあの家に戻ってきてほしい」
私は唖然とした。
松岡さんにあんなことまでしてそんなことが言えるの?
彼は目を丸くして、林総理大臣をただ見つめているだけであった。

