「陽和、お待たせ」
そこには、林総理大臣がいた。
「親父」
「林総理大臣」
林総理大臣の名前を呼ぶと、私はすぐに松岡さんを見た。
「そう今日、用事があるっていたのは親父のこと」
「何でですか? 林総理大臣に用があるんですか?」
彼は真剣な眼差しで私を見てきた。
「苦しくてもね。大人の事情で向き合わなくちゃいけないんだよ」
そう彼は言って、苦しそうに鼻で静かに深呼吸をして誰にも悟られないようにしているみたいであった。
「……分かりました。ですが、私は帰りません。ここに居させてもらいます」
私は彼を置いて、ここを去ってはダメだと悟り、仁王立ちで彼の前に立った。
「……陽琉……分かった。いいよ、居て」
「ありがとうございます」

