「よかったですね」 「それより、今日は帰りな」 「な、何でですか?」 ふふふと楽しそうに言っていたが、誤魔化しているように見える。 「陽琉、今日は用事があるんだ。帰ってお願い」 分かってほしいと必死に目で訴えている。 それだけで分かる訳がない。 「……それだけじゃ分からないですよ。言葉に表してもらわないと」 松岡さんは、ため息をついた。 「はあ、陽琉にはかなわないか」 そう彼が言った瞬間、雷が鳴るかのようにドアが開いた。