諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


「よかったですね」

「それより、今日は帰りな」

「な、何でですか?」

 ふふふと楽しそうに言っていたが、誤魔化しているように見える。

「陽琉、今日は用事があるんだ。帰ってお願い」

 分かってほしいと必死に目で訴えている。  

それだけで分かる訳がない。

「……それだけじゃ分からないですよ。言葉に表してもらわないと」

 松岡さんは、ため息をついた。

「はあ、陽琉にはかなわないか」

 そう彼が言った瞬間、雷が鳴るかのようにドアが開いた。