「なんかあった?」

「……え? なんで」

 夏帆は、目を瞬きして私を見た。

「いや、なんか夏帆らしくないっていうか……」

 私がそう言ったら

「……陽琉―! 聞いて!」

私に抱きつき何かを言いたげであった。

私達はひとまず授業が行われる教室へ行き、夏帆に話を聞いた。

 彼氏と別れたらしい。

 彼氏は夏帆に内緒で浮気をしていて、その彼氏はなんとその女性が妊娠してしまったので、別れてくれと言われたらしい。

 なんと勝手な人だ。

 夏帆から聞いていて、いい人だと思っていたのに何なんだ。

 その彼氏、私が彼女だったら即効殴る。夏帆は、泣いていた。

 私は、夏帆が思っていることを彼氏に話してみたらいいのではないかと提案した。

 夏帆は泣き止み、うんと頷いていたが、涙を堪えているように見えた。

 アドバイスができるのは、この前の件があったからだ。

 どうしたらいいか悩んでいる時に、アドバイスをくれた言葉。

 今、やるべきことをやる。

 その言葉があるから。

 今は、何をすればいいか自分でわかる気がしたのだ。

 私は糞つまらない授業を淡々と受けて、私は古本屋『松岡』に向かった。