諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


彼はそれを察したのか、私にさっき程話していた続きを聞いてきた。

「……あのさ、陽琉。さっきのことだけど、俺とくるみが言いたいのは夢を叶えるために陽琉は、頑張ってるってこと」

 私は、彼の目を見た。私の為に分かりやすく彼なりの言葉で私に訴えていた。

「……頑張ってるって……なんですか? あの二人みたいに私もやりたい仕事につけました。でも、本当にやりたい仕事には就けていない。就職できても、嬉しいような悲しいような、分からないんです。もう私……どうしたらいいんですか」

 私は声を出すこともなく、静かに涙を流していた。

人前で泣いたことなんて、人生であまりなかった。

 それなのに人前で泣くのは、何年振りだろう?

 昔から何も出来なくて、誰の役にも立てなくてどうしたらいいかわからなかった。

 だから自分に強くありたいと、知識を身につけて男性に負けないくらいの知識をつけたと私は思う。

 なのに、今の自分じゃ夢なんて叶えているのだろうか。