一人で帰ると思いきやコバさんを連れてどこかに行こうとしていた。
「いいでしょ! どっか行くよ」
なぜか私と松岡さんの方を見て、彼は諦めたような声で言った。
「……はあ、分かったよ。行きますよ、くるみ様にはかなわねぇな」
「なんて言った? コバ」
ニコッと彼女は不敵な笑みを浮かべていた。
「はいはい、行きま―す」
くるみさん達はカバンを持ち、二人とも私を見て少し笑いかけてから足早に去っていた。
その笑いが、何を意味するのか理解出来なかった。
「行っちゃいましたね。二人とも」
「ああ、行ったな。くるみ達いてもよかったのに。俺そんなキツイこと言ったのかな?」
松岡さんは、ポツリと私に言い放った。
二人がいないせいか静かに感じた。
私は何を言えばいいか分からず黙っていた。

