諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


「どこに住んでいるんですか?」

「歩いてすぐのところだよ」

 彼はピヨもうすぐ着くから待ってろよと言って、私に話しかけてきた。

「え―と、陽流さんだっけ?」

 彼は、私の脚から顔まで全身を見渡して言った。

 な、そんな見ないでよ。

 私は顔を赤らませながら俯いていた。

「就活生?」

「は、はい」

「ス―ツ、俺のせいで汚くなったな。悪い」

 私は自分の全身を見た。

 今まで分からなかったが、脚には土がついていて、ス―ツにも草があちこちに付いていて汚れていた。

「あ、大丈夫です」

 私は脚やス―ツを手ではらった。

「良ければ、俺の服を貸しますけど……?」

「いえ、悪いです」

「でも、そのスーツで歩くの?」

 う、図星だ。

 彼に苦笑いを浮かべた。

「……図星でしょ。着いたら、服貸すから」

 そう言った後、私を構わずにピヨと会話をしていた。