諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


今日は、全員集合していた。

 コバさんとくるみさんは、バイトがないから暇だから来てみたと言い、古本屋『松岡』に来ていた。

「ありがとうございます」

 床に座っていたので、私は立ち上がり松岡さん達に礼をした。

 三人は床に座って、一人ひとり楽しみながら新聞を読んだり、酒を飲んだり、雑誌を読んでいた。

 私は松岡さんにこっそりと聞いた。

私が就職できたということを聞ききつけて、コバさんとくるみさんが駆けつけてくれたと教えてくれた。

 本当に有難くて、やはり優しい人達なんだと思った。

「陽琉、大変だったんだよな。お前らちゃんと聞いてるか!」  

「聞いてるよ、ひよっち」

「聞いてるよ。陽和それより、新聞読んでていいの?」

 雑誌をペラペラめくって、くるみさんは黒目を動かして松岡さんを見た。

 酒を一口飲みコップを右手に握りしめて、コバさんは聞き耳を立てていた。

「全部俺が思ってること言ったから問題ないよ」

「それなら言いけど……なんか人任せし過ぎている気がして」