人間は殺したという言葉を簡単に口にはしてはいけない。だが、事実を受け入れなくてはならない。
「ああ、だから。その時、携帯で警察に通報しようとした。でもあいつは警察に通報したら、あんたらどうなると思う? って、言ってきたんだ。俺たちはあいつに殺される、ここから、逃げなきゃって。だけど、ひよっちは呆然とあいつを見ているだけだった。俺はただあいつに言ったんだ。もう、ひよっちとは一切会うなって。俺たちは、その場から逃げ出した。窓から。あいつは俺たちに返事もしないで何故か笑ってたよ。それからひよっちは、俺の家に住むことになった。俺の家は、ばあちゃんだけだから。何も言わないで住まわせてくれたよ」
タバコに火を付けて、そのタバコの煙が彼の悲しさを表しているように見えた。


