「松岡さんの父親って、林総理大臣なんですか? 初耳ですよ、俺」
林総理大臣と太橋さんは帰っていたので、口を出していいと思った昇哉さんは言った。
「親父です。本当の父親ではないですけど」
「……そうだったんですか」
空気を読んだのか、彼に何も聞かずに返事だけをした。
すると、コバさんの姿が見えない。
「コバさんは?」
「小林さんのこと? それなら、多分トイレだと思うけど、トイレにしては長いね。どうしたんだろうね」
松岡さんは、黙っていた。
「私、見てきます」
知りたいんです、松岡さん。
どのような心の傷を持っているのか。
「陽琉、いい俺が行く」


