「……はい。では、また連絡しますね。話はついたので、帰りますか。総理。では、またね。陽和さん」
「はい、ではまた」
松岡さんは、ひきつっている顔を笑顔にしながら返事をした。
ドアの閉まる音が耳の中で繰り返し、リピート再生されるかのように林総理大臣がいたという現実が古本屋『松岡』に突き刺さった気がした。
古本屋『松岡』だけではなく、松岡さんにも。
彼の心の傷がようやく分かった。
理解しても何もできない自分がいるけど、彼の悲しい表情だけは見たくないと思えた。
彼が傷つける根本的な原因は何なのかを知りたい。


