諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます



「同じこと、思ったよな?」

 彼から珍しく話しかけられ驚きを隠しきれなかった。

だが、そんなことも彼の表情を見て忘れてしまった。

 いつもは怒っている顔しかしない彼が真顔に聞いてきたので私は笑いそうになった。

「……昇哉さんどうしたんでしょうね?」

「なあ、あの人初めて会うけど。何かありそうだな、くるみと」

「はい」

 話終わった後、コバさんは松岡さんに呼ばれて、昇哉さんを紹介されていた。

 私はその一部始終を見ていた。

 昇哉さんは、私を覚えてくれたのか言葉を交わさずに目を合わせてお辞儀をしてくれた。

 私も遠慮気味にお辞儀をした。