声の主は目から涙を浮かべて私に言った。
「そう、ピヨちゃんがいなくなったんだ。俺の大事なネコちゃんが」
人間じゃなくて、ネコかいと言いたくなった。
「あ、そうでしたか。どこにいるんでしょうね?」
「あなたも探してくれる? 俺のために」
私の手を掴み、声の主は輝いた目で私を見たので断ることも出来なかった。
「……あ、はい」
私は声の主に言った。
声の主曰く、毛がフワフワで目が丸くて、小さくてかわいい白いネコだそう。
そんな大ざっぱの説明でわかるはずがない。
「ピヨ、ピヨ、ピヨ」
探しているネコは、ピヨという名前らしいので私もピヨと呼び、探した。
「ピヨ、ピヨ、ピヨ」
声の主は、ピヨどこへ行ったんだと叫んでいた時だった。

