「いつくらいのことですか?」
私は彼女を見て言った。
「うーん、この店ができた時かな? お客様が、最初全然いなかったから。陽和は、ここが出来た時から従業員に夢を叶えさせたいというのがあってお客様には従業員の夢を手助けしてくれるような場所があったらいいなという願いがあったからね。その為に、ここは、だから、陽和も頑張ってくれたみたいなんだけど。その前に、従業員が少なくてここで働いてくれるひとを探していたの。その時に、店にあなたの諦めた夢を叶うから、一緒に働こうって、私どもの店にぜひ来てくれって看板に書いたの」
あ―、あの看板はそのことについて書かれていたのか。字が薄くなっていて分からなかったな。
「それでどうだったんですか?」
くるみさんは、首を振った。
「ダメだったの。全然来なかったの。それで誘ってきたのが……」
くるみさんが言いかけた途端
「うぃす。ひよっち、いるか?」
昨日松岡さんと喧嘩して黙って帰っていたコバさんだった。
「コバ、あんたどこ、行ってたの。陽和心配してたわよ」
コバさんは昨日と変わらず、変な服装であった。彼は猫背ぎみで挨拶をしていた。
「べ、別にいいだろう。俺の勝手だろ。お前には関係ない、別に」

