諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


「はい、すいませんね。ここまで子ども連れてきて。シングルファザ―で子どもを見る人がいないもので。仕事場の時は子どもを見てくれる人がいるんですけどね。外に行くと、子どもと離れると心配なもので」

 そう言い、彼はれんかちゃんの頭を撫でた。

 れんかちゃんは髪が崩れると言い、コップを弄っていた。

「そうでしたか。ゆっくりしていって下さい」

 営業スマイルをしてから、彼女は居間に消えていた。

 彼女が消えると田中さんは私に聞いてきた。

「あの方は、モデルさんとかですか?」

「モデルを目指しているんですよ」