田中さんは、テーブルにペンとたくさんの資料が入っているファイルを出していた。
「これです」
テーブルに置かれていた私が書いた小説を見せた。
田中さんは、上下に肩のマッサージをしているのか肩を回していた。
「どれどれ?」
目を輝かせて、私の小説に手を通した。
れんかちゃんはパパ嬉しそうと足をバタバタさせて言っていた。
私はウズウズしていた。
「……」
田中さんは、私の小説を瞬きもせずに読んでくれた。
「ど、どうですか?」
私は彼に戸惑いつつも聞いた。
表情も変えずに田中さんは、頬杖をつき左手に原稿用紙を持っていた。
れんかちゃんは、つまらなそうに彼を見て何かを訴えているように見えた。
「……内容はいいですね。でも、何かが足りないですね。う―ん」
彼は右手に顎を持ち、考え込んでいた。

