「いえいえ、こちらこそ。あの松岡さんから誘われたのですから。もちろん断るわけないですよ」
男性はそう言い、私から目を逸らした。
私は、男性が言った言葉が頭から離れなかった。
その言葉が離れない中、私は笑顔で答えた。
それより本題に入らなくちゃいけない。
そう思った時
「本題に入りますね。小松陽琉さんでいいですよね?」
松岡さんから事前に聞いていたのだろう?
それを確認するように彼は聞いてきた。
「はい」
私はさっき程もらった名刺をまた見返した。
会社名で興奮して、男性の名前まで見る余裕がなかった。
見ると、田中宏輝と書かれていた。
「えーと、陽琉さん。松岡さんから聞いたと思いますが。小説書いてきましたか? 途中までいいので」

