私は男性の言葉を打ち消すように返事をして、ドアを開けテーブルまで案内した。

 男性の言いたいことは、忙しい中、来てやったんだ、早く小説読ませろという事だろう。

男性とれんかちゃんが座ったのを見計らって、私は事前に用意していたペットボトルのお茶をコップに注いだ。

 ゴボゴボとお茶を入れて、急いで男性とれんかちゃんの元へ運んだ。

「どうぞ」

 私はそう言い、二人分のお茶をテーブルに置いた。

「ありがとうございます」

 男性は返事をして、ゴソゴソとカバンから何かを取り出していた。

 れんかちゃんは男性の隣で、さっきは文句を言っていたが黙々とお茶を啜っていた。

 私は男性に話しかけた。

「今日は、お忙しい中私のためにご足労頂きありがとうございます」

 両膝にカバンを置いて何かを探していたので、私を上から見上げるように男性は言った。