当の本人は目を丸くしていた。
「俺、動物に例えられたの生まれて初めてだよ。面白いね君」そう言って彼は朗らかに笑い出した。
…いや、面白いのはあんたでしょ。
「いえ…あ、あと、私も実は教室の場所わからなくて…ごめんなさい役に立てなくて」

「あ…まじか。わーどうしよう」
青年は頭を抱えて悩み始めた。
なんだか申し訳なくなった。

「すいませんでした！…じゃあ、私はこれで…」
そう言って彼の横を通り過ぎようとした時。
通学鞄がものすごい勢いで後ろへ引かれた。
慌てて後ろを振り向くと、青年があやのの鞄を掴んでいた。
「え、なんで。わかんない人同士一緒に行こうぜ。俺だけ辿り着いて君は迷子とかやだ」

…1人の方がいい…とか言ったら気悪くするよね…慣れてないんだよ馬鹿…どアホ…

頭の中で罵詈雑言を並べ立てながら、彩乃はおとなしく従う事にした。