君とまた、出会う夏



「おはよう」


「おはよ紫苑!始業式から遅刻なんて紫苑らしくないぞー?」



「……あは、寝坊しちゃった!」




明るく笑いかける莉子に、これまた明るく返事をする。






莉子のことは好きだ。


狭い世界の中で生きていたあたしを外へ連れ出してくれた。



そんな莉子に嫌われないように、少しでも“普通の人”になれるように、あたしは何年も下手くそな笑顔を貼り付けていた。