少年の声は、耳に心地よく聞こえる、静かな声だった。 「え、あ、お母さんゆずりなの」 「………そうなんだ」 少年はゆっくりと微笑んであたしの髪をそっとなでた。 普段なら男に、それも見ず知らずの男に髪を撫でられるとゾッとするのに、なぜか心が温まった。 ……どうしてだろう。 どうしてこんなに安心するのかな。