望冬が小さい頃こんなことがあった。
ある日、望冬が小学校から泣いて帰ってきた。
「お父さん……望冬はダメな子なの?」
どうしてそんなことを言うのか分からなくてそして幼い望冬がそんなことを言うのが辛かった…
「あのね…お母さんは望冬を産んだから死んじゃったんでしょう?お母さんが幸せになれなかったのは望冬のせいなの…」
小さな体でそんなことを考えてるなんて思わなかった。
「違うよ。望冬はね、お母さんの幸せなんだよ?確かに望冬が産まれてからお母さんは死んじゃったの…でもね。望冬がいなかったらお母さんもお父さんもすごく悲しくなっちゃうんだよ」
望冬を産んで君が亡くなってしまったのは事実で望冬もいつか分かってしまうことだと思いそれは隠さなかった。
「望冬……例えば望冬はさ。お父さんが死にそうな時どうする?」
「そ、そんなの…た、すけたいよっ」
「そうだよね。でも助けたら望冬が死んじゃうかもしれない。そしたらお父さんは自分を責めちゃうよ?」
「ち、ちがう!望冬が助けたくてお父さんを助けたんだもん…お父さんは悪くないもん…」
「だからね今の望冬みたいにお母さんも望冬と同じ望冬が自分のことを責めたら悲しいの」
望冬は黙って頷いた…