「瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ」

こちらも百人一首。
また会おうという意味だ。

彼は、零華との練習に付き合っていたので、いくつか知っていたのだ。

「ははは。何言ってんだか。さすがは零華ね。」

この歌の意味を、両親は知らない。
知るはずもない。

「さよなら、零華。」

母親が、硝子ケースを手で叩き割った。

そして、力強く、中にあるボタンを押した。