零華は、百人一首くらいしか取り柄が無かった。

「母さん、私、練習で忙しいの。実験台の依頼は受ける気無いからね。今日も、ずっと先も。」

そう言ってクルリと背を向けた。

「ふん。そう言ったって、無駄よ。あんたの運命は、此処に生れた時から決められていたんだから。」

クスクスと母は笑い出した。
だが、その顔は、笑っていなかった。


部屋では、零華がスマートフォンにイヤホンをさして百人一首をやってた。

(私は強くならなきゃ。これじゃ、負けてしまうかもしれない。)

(こんなんじゃ、駄目!!速く、速く、私!)