高校生

それは結構僕にとって心臓に悪いものだった。

「うぅ、誰も知り合いがいないっ……」

中学生の初めもこんな感じだったか。

ふと、自分の情けない中学の入学式を思い出した。

慣れれば普通なんだけどなぁ。

胸元の慣れないネクタイが吉川宏幸の緊張を誘う。

宏幸は小さい頃からの人見知りでいつも母親か姉の後ろには隠れてから人の顔やら性格を伺うような男の子で。

自分から話しかけて仲良くなったという経験はきっと三年前に飼った犬のポチぐらいだろう。

「……どんな人がいるのかな……」

自分の行く高校が近づく度重くなっていく足。

中学の頃はこんな見た目暗いやつにみんな明るく接してくれた優しい人たちだったが。

たった今さっき来た母からの「高校はいろんな人がいるからね(^-^)」という脅迫メールを貰ってから宏幸の脳内はそれを行ったり来たりしていた。

学校ついた頃には謝って犬の尻尾を踏んで噛まれたあとが目立つ。

「帰った方がいいのかな……」

宏幸が1歩歩く度振り返る人々

投稿初日から注目を受けてしまった。

「…………………はぁ。」









宏幸のクラスは1組だった。

見学と入試以外入ったことのない校舎に足を踏み入れ一年一組を目指す。

「不良とかいなければいなければ良いけど……」

宏幸の手はかすかに震えていた。

やっとの事でついた一年一組にはすでにほとんどの生徒が席に着いておりきっと中学時代同じだった人たちとで盛り上がっていて賑やかだった。

「………っ。」

少しだけ緊張の糸が解けた気がした。

おそるおそる教室にはいり黒板に提示してあった席順を確認し自分の席についた

宏幸の席はほとんど真ん中に近い席だった。

「ここなら黒板も見やすい……」

自分のメガネを上に上げ度を確認する。

その時自分の隣が埋まった。

「あっ………」

「……あっ、どうも……」

隣は以下にも大人しそうな雰囲気で黒いサラサラしたショートカットの髪からはほのかに甘いシャンプーの匂い。

『結構可愛い……』

思わず思ってしまった。

「ど、どこの中学ですか?」

彼女は少し宏幸の顔を伺いながらおずおずと聞いてきた

なんとも可愛らしい声だった。

「日、日々丘中学……ですっ…」

可愛らしい声とルックスに戸惑い声が裏返ってしまった。

「そうなんですか?私、祐悦中学です……」

「そ、そうなんですかッ…近いですね…」

「は、はい…!」

2人の中で沈黙が訪れる。

『な、なんか話すこと……』

そんな事考えていると彼女からこの沈黙を破ってくれた

「な、名前……何ですか?」

「名前?よ、吉川宏幸です……!」

「宏幸君ですか…!私、福山優です!」

「優…さん…」

可愛らしい名前……

「よ、よろしくおねがいします…!」

彼女は優しく微笑んだ

彼女の笑顔はすごい胸に来るもので宏幸の心臓がドクンとなった。

「よ、よろしくっ……!」

今でも心臓が一つ動く度流れる血管が破裂してまうような…体が麻痺してしまう。

まさか。


これが、恋?

「う…」

嘘だろぉ……


心の中でそんなことを叫んでいた。

次の瞬間優が勢いよく立ち上がって今さっき来た男に

「あーーー!!!やっと来たなぁ!?おっせんだよばーろー!!!」

「……………………は?」


宏幸は一瞬なにが起こったのか。そして、なにが聞こえたのかもよく分からなかった。

今の声は………本当に福山優か?

まるで今さっきとは打って変わって男見たいな声に変わり口調も性格も変わってしまった。

ば、ばーろー?

え?

さっきまで上がっていた体温は覚め。心臓はもう少しで止まりそうな感覚にいた。

人ってこんなにも変われるっけ?