ギクッとし、さっきとは違うドグンが胸を高鳴らせる。
どうしたのだろう、と小鳥は胸を押える。
小鳥にはドグンの違いが分からないようだ。だから思わず尋ねる。
「病気かしら? 先程から脈拍が正常値を超えるほど早いし、血圧上昇がみられるわ。どうしましょう、Mr.光一郎」
何となく意味の分かった光一郎は、小鳥がアワアワし出すのを可笑しそうに見つめ、笑いを噛み締める。そして、芝居掛かったクサイ台詞を吐く。
「それは大変だ。僕に寄り掛かるといい」
小鳥の肩をソッと抱いた途端、「そこまでだ」とホワイトスーツを着た三日月が現れる。ホストと見間違えるほどの妖艶さだ。
「小鳥ちゃん、綺麗だね」と言いながら、三日月は小鳥の肩から光一郎の手を払い除け、何やら彼に耳打ちする。その顔に悪魔の笑みが浮かぶ。
「三日月さん、登場が早いですよ」
光一郎は忌々し気に三日月を睨み、チッと舌打ちする。
「下品だね、光一郎君」
知り合い? 小鳥は二人の間で二人を見上げる。
「フーン、小鳥ちゃんともう顔見知りだったとは……面白くない」
「偶然です」
「へぇー、偶然も必然……じゃない?」
三日月が悪戯っぽい眼差しで光一郎を見つめる。
二人が見つめ合うのを見つめていた小鳥は、ハッとする。
そして、アッと口元を抑え光一郎に言う。
「もしかしたら……社長の……恋人さんですか?」
三日月と光一郎はハァ? と顔を見合わせ、顔色を変え「違う!」と力一杯否定する。


