ドストライクの男


ル・レッドの生活は常にパーティーが付き纏っていた。
小鳥はいつも思っていた。どうして上流階級の人々はこんなにパーティーが好きなのだろうと。

「あの時の経験がこんなところで役に立つとは」

お洒落知らずの小鳥も、パーティー用のドレスコードは知っていた。

今日のノルマを猛スピードで済まし、一時間早く仕事を終えると早々52Fに戻り、まずシャワーで汗ばんだ体を洗い流した。そして、シャンプーの香りがする髪を夜会巻きにし、軽く化粧する。

「社交界のパーティーじゃないから……」

クローゼットに並ぶパーティー用ドレスの中から小鳥が選んだのは、ウエストがキュッと絞られた濃紺の膝下ワンピースだ。

「アクセサリーは涙型のダイヤが付いたチェインピアス……靴は……フェラガモでいいわね」

全身を鏡で確認し、やっぱり伊達眼鏡を掛ける。

「これでよし! ママ、どう完璧でしょう」

最後にフェラガモのパーティーバッグを持つと小鳥は再びB5Fに降りる。

「おぉぉ、お嬢様、とてもお綺麗でございます。しかし……その眼鏡は如何なものでしょう」

執事田中の残念そうな顔に小鳥は平然と答える。

「いいの、だってお掃除お姉さんとして参加するのだから」