ドストライクの男


「小鳥ちゃんは行かないの?」
「はい、仕事がありますので」
「勿体無い。せっかくのチャンスなのに。気が変わったらおいで、待ってる」

そう言えば、と更に小鳥は思い出す。
チケットを手に入れた途端、ベリ子はエステやマナー教室に通い出した。

「玉の輿よ! イイ男をゲットするチャンスよ!」とその意気込みは仕事以上に真剣だった。

なるほど、と小鳥は意欲満々のベリ子を見る。
ドストライクの男はこんな風にゲットするのか、と改めてパーティー不参加を思い直す。

それに……パーティーの企画者は三日月、売上金は全額寄付。
目的意識のハッキリした賛同できるパーティーだ。

よし! とベリ子と別れた小鳥は一般エレベーターでB5Fに降りる。

「田中さん、今日のパーティーに出席しようと思うのですが、チケットまだありますか?」

執事田中は口をポカンと開け、それからゴクリと唾を飲み込むと、確認するように訊ねる。

「あのぉ、パーティーとは『年の瀬チャリティー・カウントダウンパーティー』のことですか?」

「ええ、それです。ゲットせねば! です」

「はぁ……」と執事田中は何をゲットするのだろうとハテナマークを浮かべながらも、何度誘っても乗ってこなかった小鳥が自ら参加すると言い出したので大喜びだ。

「ございます! ございます! 十枚でも百枚でも」
「いえいえ、一枚で結構です」

小鳥はキッパリ答える。