「あっ。おはようございます紫苑さん。」



大きめの自動ドアを抜けると目の前にウェーブのかかった肩まである艷めく髪をかきあげる、白衣のような服を着、長い脚をブラブラしている紫苑さんが俺を待っていた。


(いつもより早く来たつもりだったんだが...)



「あら。あなたが茨木薫くん?それじゃ、案内するわ。ついてきて。」



「はい。」



答えるより先に紫苑さんは歩き出してしまう。


俺はついていくが紫苑さんは歩くのが速く、小走りじゃないとついて行けない。