とある王国に、男児が産まれた。

名をレオン。

その男児はいずれ世界を変えるだろう。


「…様……オン様…。レオン様!」
「…!」
「おはようございます。レオン様」
「ああ。おはよう…アミ」
「レオン様…また…あの夢……を?」
「…ああ。最近多くてな…」
「…そうですか。私は声をかけることくらいしか出来ず…」
「アミのせいじゃないさ…夢のせいだ…もう下がっていい」
「分かりました…。失礼致します」
アミは一礼して出ていった。
「夢…。あの時見た夢は…」

「ここまで旅ができて良かったぜ。必ず帰って来いレオン」
「ヤエト…」
「しっかり戻ってこい…レオン」
「リュラ…」
「さよならなんて聴きたくないからね」
「サクラ…」
「メイもサクラと同じ。だから…さよならなんて言わないから」
「メルリィ…」
「早く帰ってきてね!メイ、待ってるから!」
「ああ。必ず…帰る」

「ヤエト…リュラ…サクラ…メルリィ…。リュラって…リュラか?」
「レオン!入るぜっ」
「お…おう」
「レオンどうした?なんか暗いけどさ」
「あ、いや…何でもない…」
「?…何でもないなら良いけどさ。そう言えばレオン」
「なんだよリュラ?」
「珍しい客人が来てんだ」
「客人?誰だ?」
「グロッセン王国の姫サクラ様だ」
「サクラ?」
「おいおい…レオン知らないのか?」
「王国は知っているけど、姫まではなぁ…」
「お前と同じ16歳だとか…」
「そうなのか!?」
「グロッセン王国の桜祭りだかで会っているはずだ…」
「そうか…」
「覚えてないか?」
「うーん…」

「レオンと私は同じ…だよ」
「何がだよ?」
「またあった時わかるよ!」
「…?」
「じゃあね!レオン」

「俺と…サクラが同じ…?」
「何だって?」
「その王国の姫と会った時に…俺とサクラが同じだってサクラから聞いたんだ」
「同じ…か…。同じ………っ!?」
「リュラ?」
「レオン!お前、前に話してくれた夢の他に何か見てないか!?」
「…あるけど」
「話せ!」
「リュラ…どうした。…リュラがそこまで言うなら。…ヤエト、リュラ、サクラ、メルリィって言う奴らといて、別れる夢なら…」
「…俺達はバラバラの夢を見ているらしいな…」
「バラバラの夢?」
「俺も見たさ…お前と少し違う夢をな」
リュラが一息置くと、
「俺はその後。レオンが居なくなって待つ夢。詳しく言えば…」

「レオン…」
「サクラ様…あいつなら帰ってきますよ」
「そうだよ!サクラ!メルリィも待ってるよ!レオンは必ず帰るって言ったよ!」
「そうだよね……。ありがとう…メルリィ」
「必ず…必ず、レオンは帰る。俺達に誓った…最果ての地で世界を救い戻るって…」
「ヤエトさん…」
「ヤエト…」
「一応言っておこうか?」
「リュラさん?」
「ここは…ここも最果ての地だぜ?」