"じゃあ、行こっか" と陽向君が立ち上がる。
私も陽向君に遅れを取らないように 立ち上がって、カバンを持った。
「あれ、そういえば カバンは?」
凪兎先輩もそうだったけど、陽向君もカバンを持っていない。
「あー、持って来てないから。
梨那ちゃん、教科書見せてね?」
「あー、うん、分かった。」
もう、つっこまない。
学校にカバン持ってこない、ってどういうことだよ!?!?
心の中では、つっこみパーティー開催中なんだけどね。
言葉にはしません、つっこみ疲れるのが目に見えてるから。
「え、待って、凪兎先輩も学校にカバン持って来てないの?」
「凪兎は、全部 置き勉だから。
教科書類とか、全部 ロッカーの中に入ってるらしいよ。
で、筆記用具類はブレザーの胸ポケットに入れてて ズボンのポケットに色々な鍵と財布が入ってる。
"ポケットの中身、見せて" って、言ってみなよ。
四次元ポケット並みに色々出てくるよ。」
凄いな、凪兎先輩も中々のやり手だ。



