君がくれた幸せ

数学の授業では、案の定私も雪音も当たってしまった。
本当にありがとう、望月。

彼はあれから授業が終わるたび、毎時間私たちのところにくるようになった。
「うわ、次理科かよ。最悪」
「はっはっは。お前は理科が大嫌いだからな、瑆」
そう言って望月の頭を叩く男子。
彼は望月の親友、松岡尋・・・らしい。
クラスメイトだけど、望月から聞くまでは存在を知らなかった。
望月も松岡も顔が整っていて、どこにいても女子の黄色い歓声が聞こえてくる。
ちなみに身長は松岡の方が圧倒的に高い。
「うっせ。尋よりはできるし」
「はっ。俺は勉強より運動なんだよ。スタディーよりスポーツ!」
「はいはい、あっそーですか。わりーな、高坂も白坂もこいつがこんなでよ」
「あははっ、いいよ、すごい楽しいもん!」
「〜〜っ!」
「フン、よかったな、尋」
赤くなる松岡に望月が半分からかって言った。
松岡は雪音のことが好きらしい。
このことはもちろん雪音は知らない。
「う、うっせーよ!」
「ふふっ、まぁいいじゃん。恋ができるんだから」
「・・・高坂って昔の瑆と同じような雰囲気になるんだな」
私の言葉に松岡が不思議そうに言った。
「松岡くんって昔の望月くんのこと知ってるの?」
「おう。俺らは幼馴染でよ。こいつがすっげーさ・・・」
「尋」
望月は松岡の言葉をさえぎった。
その声はいつもより低く、私たちはぞっとした。
それに対して松岡はニヤニヤ笑ってる。
「わかってるって。お前が言いてーことは。安心しろ、誰にも言わねーから」
「・・・ならいいけどな」
「・・・望月?」
私が声をかけると、彼はいつもの笑みを浮かべた。
「ん、なんでもねーよ。それよりメシ食いに行こーぜ!」
「う、うん。そーだね!行こっ瑠奈」
「・・・うん」
私たちが望月の後についていくと、松岡が私たちにコソッと言った。
「さっきのはなかったことにしておいてやってくれ。あいつ、自分のこと話したがらねぇからさ」
「なのに松岡くんはさっき、言おうとしたの?」
「さっきのは冗談だよ、冗談。でも瑆の奴、冗談が通じねぇんだよな〜」
「・・・望月が私と似てるっていうなら、冗談が通じないっていうのもわかるな」
「あー・・・瑠奈がそう言うとあたしにもちょっと理解できる」
「・・・かもしんねぇな」
それから私たちは、中庭でお昼ご飯を食べた。