キーンコーンカーンコーン。
「きりーつ。れーい。ありがとうございましたー」
ああ・・・。
今日も普通の1日が終わった。
「ねえ瑠奈、一緒にどっか寄らない?」
伸びをする私のところに来たのは、私の唯一の親友、白坂雪音。
冷めた性格の私に、とても優しい子だ。
だから私は、雪音だけには心を開いてる。
「んー、どーしよっかなぁ」
「瑠奈、最近全然外出てないでしょ?たまには外に出なくちゃ」
「・・・やっぱバレてたか。わかった、いいよ」
私がそう言うと、雪音はパッと笑顔になった。
ホント、雪音はかわいいんだよな〜。
私とは大違い。
「じゃあ早く行こっ。瑠奈と行きたいお店があるの!」
「わかったから!ちょっと待ってってば!」
私たちは急いで教室から出た。
すごく急いでたから私は気づかなかったんだ。
一人のクラスメイトがじっと私を見ていたことに。

「んーやっぱ美味しい!」
本当に美味しそうに抹茶オレを飲んでる雪音。
ちなみに私も抹茶オレにした。
「ふふ。ホントに美味しそう」
「だって美味しいもん!瑠奈だってそう思うでしょ?」
「まぁね」
そのとき、私たちの席に突然影ができた。
見るとチャラそうな知らない男の人が3人。
「君たちかわいいね〜。俺らと遊ばない?」
「遊園地でもどこでもお連れしますよ、お姫サマ♪」
その人たちはニヤニヤ笑いながら、私たちに近づいてきた。
何か言いたそうに男を睨んでる雪音。
・・・うん、逆効果だよ、雪音。
「うわっ睨んでる顔もかわいい〜!」
「っ・・・あたしたちに近づかないで!」
「ヒュ〜♪そーんなこと言われたら、余計襲いたくなるよ」
その言葉が私の中の何かを吹っ切らせた。
「・・・バカみたい」
私の言葉に動きを止めた男たち。
「ああ?今なんつった?」
「バカみたい、そう言った。言っとくけど、あんたたち見たいな人間に、振り向く人なんていないわよ。醜い塊なんだから。そんなこともわかんないの?」
「んだとテメェ!」
「ちょ・・・瑠奈!」
「殴りたければ殴れば?その程度の人間なんでしょ」
すると一人の男が私に掴みかかった。
迫ってくる拳を見てた、そのとき・・・。
ゴスッ!
鈍い音がして、目の前の男が倒れた。
「女を殴るとか、男として最低のクズだろ」
声がした方を見ると、男の子が冷めた目をして倒れた人を見下ろしていた。
「もしかして・・・望月くん?」
「・・・雪音、誰それ?」
「あたしたちと同じクラスの望月瑆くんだよ!」
「・・・そんな人いたっけ?」
突然、笑い声が聞こえた。
見ると、さっきの男の子が笑ってた。
「白坂の言う通りだよ。俺はお前らのクラスメイト、望月瑆。つーか、さすが高坂だな」
「何が?」
「俺の存在を知らねぇこと。お前、ぶっちゃけそういうのどうでもいいと思ってるだろ?」
望月の言葉に心底びっくりした。
学校で私の性格を知ってるのは雪音だけだし、いつも“普通”を演じてるから。
きっと雪音も同じなんだろう。
「えっなんでわかるの!?」
「さぁ、なんでだろうな。・・・ま、昔の俺と同じ匂いがしたから?」
「昔の、望月くん・・・?」
「そ。まぁそれは追々話すさ。話す気になれば、な」
ズルい。
「それってズルくない?」
「まぁまぁ。気にすんな。それより、あいつらどっか行ったな」
「「あ」」
静かになったと思ったら、あいつらがいなくなってたんだ。
そういえば望月に助けてもらったんだったね。
「あ、ありがとね。助けてくれて」
私が普段言わない言葉を言ったからか、雪音が驚いた表情をした。
それは望月も同じだったが、彼はすぐに笑顔を浮かべた。
「おう!」

そのとき、ドキっとしたのはきっと気のせい。